機械設計とは文字通り、
機械を設計する仕事のことです。
私自身は大阪の機械設計会社(設計事務所)
で32年勤務しておりましたので、
その立場からの認識と解釈が主になりまが、
概要説明させていただきます。
機械設計の仕事を目指される方々
機械設計の仕事をされてる方々
指導的立場におられる方々
そのような方々の参考に少しでもなれば
嬉しく思います。
機械設計とは
頭でイメージしたものを形にすること
無から有を作り出すこと
そんな風に教えられ実感もしてきました。
自分で考えて設計したものが、
実際のモノとして製作されて、
火を入れられて稼働してるとこを見ると、
実に感慨深いものがあります。
世の中で役に立っている!
誰かの役に立っている!
かっこいい!
美しい!
次はもっといい設計がしたい!
これが機械設計のおもしろみです。
「頭でイメージしたものを形にする」
と言いましても、
何でもかんでも可能な訳ではありません。
現実的に可能でなくてはなりません。
・機能上の問題はないか?
・機構上の問題はないか?
・強度的に問題はないか?
・寿命的に問題はないか?
・動作的に干渉はないか?
・メンテ性は考慮されているか?
・コスト性は考慮されているか?
・ユニット化・
モジュール化されてるか?
・製作可能か?
・組立可能か?
・搬送可能か?
・規格条件は満たしているか?
・仕様条件は満たしているか?
・安全性は確保できているか?
・環境問題に配慮されているか?
などなど、、、
設計上考えなければならないことは、
まだまだたくさんあります。
それらたくさんの制約の中、
いかに自由な発想でアイデアを
現実のものとして実現させ、
クライアント様や
エンドユーザー様に
満足していただける
設計ができるかが、
機械設計技術者としての
醍醐味です。
機械設計の業界,業種,分野とは
めちゃくちゃ幅広いです。。。
業界・業種
業界・業種の例としては、
・自動車関係
・特殊車両関係
・鉄道・交通関係
・航空・宇宙関係
・船舶・造船関係
・建設機械関係
・農業機械関係
・液晶関係
・半導体関係
・電池関係
・弱電関係
・光学関係
・食品関係
・医療関係
・医薬品関係
・化粧品関係
・衛星製品関係
・衣類関係
・製紙関係
・土木機械関係
・化学系
・材料系
・環境系
などなど、、、
分野
分野の例としては、
・製品設計
・工業製品
・介護ロボット
・補助ロボット
・協働ロボット
・遊戯設備
・モーター
・減速機
・エアシリンダ
・直動ガイド
・ボールねじ
・ベアリング
などなど、、、
・家電製品
・冷蔵庫
・洗濯機
・テレビ
・オーディオ
・パソコン
・スマホ
・マッサージチェア
などなど、、、
・FA(ファクトリーオートメーション)
・自動機
・省力化機械
・搬送設備
・加工機
・検査機
・専用機
・上記製品設計項目の各生産設備
などなど、、、
・設備設計
・製造設備
・プラント設備
・ゴミ処理設備
・上下水道設備
などなど、、、
一つ一つ奥が深く何十年と経験を
積み重ねていけるぐらいです。
実際、
メーカーさんの設計部署の方々は
そのようにされています。
ただしかつての私のように、
機械設計会社(設計事務所)
に勤務されてる方々は、
ありとあらゆる様々な
業界・業種・分野の設計を
されてる方々が多いです。
よってそれらの設計に必要な
知識や情報を、
常にアンテナを張って
吸収更新する必要があります。
機械設計の種類
新規設計と
類似設計(編集設計)があります。
新規設計
これまでになかったものを設計する。
まさに「無から有」の設計です。
ベテラン設計者が担当することが多いです。
類似設計(編集設計)
過去に設計されたものを参考に、
今回用の機械・設備を設計します。
生産品種対応の設計
対応ワークのサイズ違い
生産ラインの流れ方向逆転
マイナーチェンジ設計
改良設計
などなど、
中堅設計者や若年設計者が
担当することが多いです。
参考があるからついつい安心しがちですが、
数多くの落とし穴がありますから、
それらを見抜く嗅覚は研ぎ澄ましておく
必要があります。
「参考がこうなってるから,,,」
ついつい思ってしまいます。
でもそれは、
設計者として恥ずかしいです。
どんな条件下の設計でも、
図面の設計欄に
自分の名前を記載する以上、
全ての責任は自分にあると
自覚して責任を持って
隅々まで検図しましょう。
機械設計のプロセス
あくまでも機械設計会社(設計事務所)
としての請負設計の経験をもとにした
機械設計のプロセスとご理解ください。
仕様確認・製品企画
どのような製品・機械・装置を設計するか、
クライアントと打ち合わせして確認する。
・設計範囲はどこまでか?
・どんな設計的対応が必要か?
・クライアント様の設計規格は?
・エンドユーザー様設計規格は?
・設計期間(納期)はいつまでか?
・設計費用はどれだけか?
・使用CADは何か?
・再外注しても良いか?
・成果物の形式は?
などなど、、、
打合せ議事録・見積書・工程表を提出して、
双方ある程度の歩み寄りレベルで可能なら
受注して着手していきます。
歩み寄れないレベルの開きがある場合は、
受注させていただかずお断りする。
(全て会社・上長の許可を得た上で)
機械設計の仕事は
ボランティアではないので
商いとして成立してこそ、
仕事です。
構想設計(構想図)
要求仕様をザックリ具体化します。
装置の機構や駆動方法を決めたり、
装置全体のレイアウトを具体化して、
全幅・全高・奥行など装置の最大寸法が
仕様条件におさまるように設計します。
基本設計(検討図)
構想設計をもとに、
ワークサイズ・ワーク重量・タクト等から、
各駆動機器など購入品の容量選定をし、
要求精度・耐久性・保守性・環境条件など
検討して装置の概略構造を設計します。
詳細設計(組立図下地)
基本設計をもとに、
各部の詳細精度を高めていきます。
フレーム構造の具体化、
部品形状の具体化、
各部材の材質・鋼材などを決定して、
詳細寸法を決定していきます。
可動した時に干渉がないかなども、
十分確認しながら設計します。
生産設計(組図・部品図・部品表)
詳細設計をもとに、
部品製作ができるように部品図を、
購入品手配ができるように部品表を、
組立調整ができるよう組立図を、
それぞれ完成させていきます。
架台フレームなど大物の部品製作は
溶接や塗装などに時間がかかるため、
材料取り図面を先行で出図しておき、
追っかけて穴あけなどの情報を加えた
最終図面を出図する場合もあります。
またLMガイドやサーボモーターなど
長納期品の購入品に関しても、
先行手配できるように先に出図する
場合もあります。
構想設計・基本設計・詳細設計・生産設計、
それぞれの段階でデザインレビューをして、
クレームや手戻りのないようにより良い
もの作りができるようにすることが、
とても重要です。
設計部の同僚や先輩や上長、
製造・品管・電気など
他部署の有識者、
いろんな方々の
知識・経験など総動員して
より良い設計になるよう
心がけましょう。
機械設計のやりがい
「機械設計とは」でも触れましたが、
自分で考えて設計したものが、
世の中で役に立っている!
誰かの役に立っている!
かっこいい!
美しい!
次はもっといい設計がしたい!
と感じられることがやりがいです。
いかに自由な発想でアイデアを実現させ、
クライアント様やエンドユーザー様に
満足していただける設計ができるかが、
機械設計技術者としての醍醐味です。
機械設計に必要なスキル
コミュニケーション能力
クライアント様・エンドユーザー様、
設計部の同僚・先輩・上長、
他部署の有識者の方々、
各購入品メーカーの担当者の方々、
セミナーや展示会の担当者の方々、
機械設計をしていく上ではたくさんの
方々とコミュニケーションをとっていく
必要があります。
職人気質で孤独を好む人が向いてる仕事、
みたいなイメージがあると思いますが、
実はコミュ力はとても重要です。
工業・工学系の知識
機械力学・熱力学・材料力学・流体力学の
四力学の知識は必須です。
とはいえ、、、
私は普通科文系高校出身で、
この世界に飛び込んだ時は
知識ゼロでした。
その気にさえなれば、
後から何とでもなりますよ!
CAD・PCのスキル
昔はドラフターに向かって図面を描いて
いましたが、今はほぼCADです。
2DのCADなら、
AUTO CAD
MICRO CADAM
I-CAD(2D)
などなど、、、
3DのCADなら、
CATIA
SOLIDWORKS
I-CAD(3D)
などなど、、、
種類もいろいろあります。
解析ソフトや文章作成ソフト、
各購入品の選定ソフトに計算ソフト、
いろいろ使いこなす必要があります。
とはいえ、、、
メールの送り方も
わからなかった私でも、
その気になれば
覚えられました。
後から何とでもなりますよ!
機械設計に向いてる人
ツールを駆使する人というよりは、
空想力・想像力・イメージ力・絵心など
そっち系の能力の方が重要です。
ちょっとイメージしたものをマンガで描く、
立体図を平面図で理解できる、
平面図から立体図をイメージできる、
などの能力の方がとても重要です。
そんな人は向いてると思います。
それと雑な人は向かないです。
几帳面でコツコツ継続して
やっていける、
そんな人が向いています。
機械設計に必要な資格
機械設計の仕事は資格がなくてもできます。
弁護士など資格がないとできない仕事では、
残念ながらありません。
しかしながら誰でもできる仕事ではなく、
高度で幅広い知識が必要な仕事です。
その意味で機械設計技術者試験は、
挑戦した方がいい資格試験です。
詳しくは別の投稿を参照ください。
しいてもう一つあげるとすれば、
CAD利用技術者試験があります。
とはいえ、、、
CADは使ってるうちに
習得できますし、
必要とされるCADは
まちまちです。
持ってて損はないですが、
持ってなくても
別に困りません。
機械設計の就職先・転職先
大手ゼネコン・重工業・電機メーカー・
製作所・鉄工所・設計事務所・公務員など、
機械設計の仕事は世の中に数多くあります。
身のまわりの物は全て設計されたものです。
またそれらの製品などを製作するための
生産設備も設計された機械です。
この先も物が必要にならないなんてことは
考えられませんので、設計の仕事も同様に
なくなることはないです。
しかしながらAIの普及などにより、
トレース・標準図作成・部品図作成など、
単純作業は人がしなくてもいいかもです。
高度で幅広い知識を応用して最適な機械を
設計する仕事はそうそうなくなりません。
作図者ではなく設計者が必要です。
その意味で機械設計技術者試験は、
持っておく意味のある資格だと言えます。
終身雇用が当たり前ではなくなっています。
より良い条件の企業に将来転職する時、
自分の機械設計者としてのレベルを公に
認証されたものでアピールすることができ、
転職にも有利になります。
まとめ
高い技術力を誇る日本の製造業の基礎、
モノづくりの原点と言える機械設計。
専門性が高く高度で幅広い知識が必要な
難しくたいへんな仕事ではあります。
でも自分のアイデアが製品になり、
誰かの役にたつ喜びは何とも言えません。
やりがいのある仕事であることは
間違いありません。
そんな機械設計技術者を目指される方々、
機械設計技術者として働いておられる方々、
指導的立場におられる方々にとって、
少しでも役に立てる情報をご提供できれば
と思っています。
その他のカテゴリーである、
機械設計技術者試験
試験勉強資料
機械設計資料
に、
今後いろいろ情報を投稿していきます。
よろしければ参考程度でもけっこうなので
お読みいただけると嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。