機械設計技術者試験の科目の一つである、
機械製図の中の、
表面性状(仕上げ記号)についての、
オリジナル勉強資料を公開いたします。
機械設計技術者試験合格を目指される方の
お役に立てればと思っております。
機械設計技術者試験 3級
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表面性状(仕上げ記号)
図に示したかさ歯車の図に、下表に示す
仕上げ(表面性状による粗さ)を施したい。
それぞれの対象の面に指示記号を
図示せよ。
また、
穴の軸直線をデータムAとし、
歯車の左側面(ボスの左側)の
円周振れ公差を0.02[mm]以内に
おさめたい。
幾何公差の指示記号も図に記入せよ。
対象面 | 表面性状による 粗さRaの値 |
① | 1.6 |
② | 6.3 |
③ | 3.2 |
④ | 6.3 |
⑤ | 6.3 |
⑥ | 6.3 |
その他の面 | 25 |
表面性状(表面粗さ)の種類
従来の仕上げ記号とRa,Rz,Rzjisとの関係
従来の |
算術平均粗さ Ra |
最大 高さ Rz (旧Ry) |
十点平 均粗さ Rzjis (旧Rz) |
Rz・ Rzjis の基準 長さ ℓ[mm] |
|
標準 数列 |
カットオフ値 λc [mm] |
標準数列 | |||
---|---|---|---|---|---|
精密 |
0.012 a | 0.08 | 0.05 s | 0.05 z | 0.08 |
0.025 a | 0.25 | 0.1 s | 0.1 z | ||
0.05 a | 0.2 s | 0.2 z | 0.25 | ||
0.1 a | 0.8 | 0.4 s | 0.4 z | ||
0.2 a | 0.8 s | 0.8 z | 0.8 | ||
上 |
0.4 a | 1.6 s | 1.6 z | ||
0.8 a | 3.2 s | 3.2 z | |||
1.6 a | 6.3 s | 6.3 z | |||
並 |
3.2 a | 2.5 | 12.5 s | 12.5 z | 2.5 |
6.3 a | 25 s | 25 z | |||
荒 |
12.5 a | 8 | 50 s | 50 z | |
25 a | 100 s | 100 z | 8 | ||
素地の |
50 a | 200 s | 200 z | ||
100 a | - | 400 s | 400 z | - |
仕上げ状態の種類
状態 | 記号 | 内容 |
精密 仕上げ | 精密仕上げは精密な面での 加工で、専用の加工法により 仕上げます。 Ra0.2μm程度で、 研削、ラップ(研磨)、バフ、 研磨加工などによって 仕上げます。 コストは高くなります。 | |
上 仕上げ | 上仕上げは精密な仕上げ面や、 H7/g6などの軸のはめあい面 です。 目安はRa 1.6μm程度です。 摺動面・はめあい | |
並 仕上げ | 並仕上げは一般的な加工面で、 旋盤やフライス盤を使用して 経済的に加工できます。 目安はRa 6.3μm程度です。 基準面・取付面 | |
荒 仕上げ | 荒仕上げは重要でない面で 粗くていい場合に使います。 目安はRa 25μm程度です。 削れてしまう面 | |
仕上げ なし | 素材のままで使用します。 |
代表的な表面粗さの求め方
求め方 | 図示方法 | 内容 |
算術 平均 粗さ Ra | 指定された長さにおける凹凸の 差を平均して示した数値です。 最も一般的に使用される指標で、 平均値をとるために突発的に 発生したキズなどの影響が 小さくなります。 <目安> キリやドリル穴:Ra6.3程度 リーマ穴:Ra3.2程度 旋盤加工:Ra0.1~12.5程度 Ra 25 ほとんど生地のままでよい Ra 12.5 機能上あまり精度を問わない 表面の指定 Ra 6.3 一般的な切削面 Ra 3.2 軸と穴を組み合わせる面 または固定部 Ra 1.6 精密を必要とする取り付け面 Ra 0.8 高精度を必要とする仕上げ面 または集中荷重を受ける面 | |
最大 高さ 粗さ Rz (旧Ry) | 指定された長さにおいて 最も低い凹部分と最も高い凸の 部分の差をとる方法です。 1ヶ所のキズがあっても問題となる 場合には、この方法がとられます。 | |
十点 平均 粗さ Rzjis (旧Rz) | 指定された長さにおいて 最も低い凹から5番目までと 最も高い凸から5番目までの 計10カ所の平均をとる方法です。 |
年代別表面粗さパラメータ
算術平均粗さ:Ra → Ra → Ra
最大高さ粗さ:Rmax → Ry → Rz
十点平均粗さ:Rz → Rz → Rzjis
表面粗さのパラメータは、
JIS B 0601に規定されていますが、
1982年に制定され、
1994年と2001年に改定されています。
それぞれで大きく異なるので、
違いを理解しておく必要があります。
年代によって意味が違うので、
どの年代に描かれた図面なのかを
十分に注意する必要があります。
表面性状の図示方法
本来の図示方法
表面性状の全ての管理項目を網羅した
上図の方法は情報量が多過ぎて、
図面上に全てを記載するのは
得策ではありません。
ですので、
一般的には省略してよい項目を全て省略し
簡略化した表示方法が用いられています。
簡略化した図示記号
要求事項 | 除去加工の 有無を 問わない場合 | 除去加工を する場合 | 除去加工を しない場合 |
指示なし 簡略図示 | |||
指示する |
ちなみに、
除去加工とは、
金属材料の不要な部分を除去して
目的の形に加工する方法です。
要求事項の指示方法
引用:株式会社キーエンス (粗さ入門.com)
表面性状の図示例
引用:株式会社ミスミ (技術情報)
各種加工法による粗さの範囲
算術 |
0.025 | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.8 | 1.6 | 3.2 | 6.3 | 12.5 | 25 | 50 | 100 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最大 高さ Rz |
0.1 -S |
0.2 -S |
0.4 -S |
0.8 -S |
1.6 -S |
3.2 -S |
6.3 -S |
12.5 -S |
25 -S |
50 -S |
100 -S |
200 -S |
400 -S |
基準 長さ の標 準値 [mm] |
0.25 | 0.8 | 2.5 | 8 | 25 | ||||||||
仕上げ記号 | |||||||||||||
鍛造 | 精密 | ||||||||||||
鋳造 | 精密 | ||||||||||||
ダイ カスト |
|||||||||||||
熱間 圧延 |
|||||||||||||
冷間 圧延 |
|||||||||||||
引抜キ | |||||||||||||
押出シ | |||||||||||||
タンブ リング |
|||||||||||||
砂吹キ | |||||||||||||
転造 | |||||||||||||
正面フ ライス 削り |
精密 | ||||||||||||
平削り | |||||||||||||
彫削り (立削り を含む) |
|||||||||||||
フライ ス削り |
精密 | ||||||||||||
精密 中グリ |
|||||||||||||
ヤスリ 仕上 |
精密 | ||||||||||||
丸削り | 精密 | 上 | 並 | 荒 | |||||||||
中グリ | 精密 | ||||||||||||
キリ モミ |
|||||||||||||
リーマ 通シ |
精密 | ||||||||||||
ブロー チ削り |
精密 | ||||||||||||
シェー ビング |
|||||||||||||
研削 | 精密 | 上 | 並 | 荒 | |||||||||
ホーン 仕上 |
精密 | ||||||||||||
超仕上 | 精密 | ||||||||||||
バフ 仕上 |
精密 | ||||||||||||
ペーパ 仕上 |
精密 | ||||||||||||
ラップ 仕上 |
精密 | ||||||||||||
液体ホ ーニン グ |
精密 | ||||||||||||
バニシ 仕上 |
|||||||||||||
ローラ 仕上 |
|||||||||||||
放電 型彫 |
|||||||||||||
ワイヤ ーカッ ト放電 |
|||||||||||||
化学 研磨 |
精密 | ||||||||||||
電解 研磨 |
精密 |
パソコン閲覧用資料(印刷用)
表面性状(仕上げ記号)
私が過去に受験勉強した資料で
不足たくさんあると思います。
そこはご容赦いただければと。
それと、クセ字もすみません。
クセが強すぎて一部の同僚には
「シマ字」と言われてました。
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・Ra
注意事項・お知らせ
著作権について
日本機械設計工業会様に著作権などの点で
ご相談させていただいた結果、
機械設計技術者試験の過去問題をベースに、
問題内の数値等を少し変えさせていただいた
類似のオリジナルな問題にしています。
過去問題そのままを掲載はしていません。
科目名称について
科目の名称は過去と現在とで多少違いが
ございますが、内容は概ね違いありません。
私のブログ内では過去の名称のままで
記載させていただくことをご了承ください。
まとめ
機械設計技術者試験は
とても難しい試験です。
試験合格のため以外にも、
日々の設計業務のためにも、
勉強することに意味ありです。
是非とも挑戦して欲しいです。
頑張ってくださいね!
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。