機械設計技術者試験の科目の一つである、
工業材料の中の、
金属の腐食についての、
オリジナル勉強資料を公開いたします。
機械設計技術者試験合格を目指される方の
お役に立てればと思っております。
機械設計技術者試験 3級
の受験を目指されている方は、
くろたか【機械設計】
のYouTubeチャンネルをご覧ください。
くろたかさんが丁寧に解説されてます。
チャンネル登録よろしくお願いします。
機械設計技術者試験 (3級) はこちら。
オリジナル勉強資料
スマホ閲覧用資料
金属の腐食
機械設計において考慮すべきものに
耐食性がある。
金属の腐食に関する文章の空欄に
適切な語句を下記から選択せよ。
(空欄部は太字・赤太字と仮定します。)
(01)
貴な金属と卑な金属間で腐食電池を形成し、
卑な金属が溶出することによって起こる腐食
はガルバニック腐食または接触腐食と呼ばれ
ており、金属の腐食原理を代表するものであ
る。
ちなみに、
「貴な金属」とは、
「貴金属」のことで、
・希少価値が高い
・酸化・腐食しにくい
・イオン化傾向が低い金属
(例)金,銀,白金(プラチナ),
パラジウム,ロジウム,
イリジウム,などなど
「卑な金属」とは、
「卑金属」のことで、
・貴金属以外の金属全般
・酸化・腐食しやすい
・イオン化傾向が高い金属
(例)鉄鋼,銅,ニッケル,
アルミニウム,鉛,亜鉛,
すず,タングステン,
モリブデン,などなど
のことです。
(02)
開口部の大きさに対して発生する深い形状の
局部腐食は孔食と呼ばれており、ステンレス
鋼やアルミニウムなど不動態膜を形成してい
る金属に起こりやすい。
ちなみに、
「不動態膜」とは、
「不動態化被膜」のことで、
「酸化被膜」とも言います。
金属の中には科学的安定性の高い
(錆びにくい)ものがあります。
・アルミニウム
・チタン
・ニッケル
・クロム
・モリブデン
などです。
ステンレス鋼はこの内のクロムを
一定量鉄に含ませた合金になり、
クロム自体が錆びにくい特性
(不動態化被膜)を持つので、
ステンレス鋼=錆びにくい
となっています。
(03)
ボルト締結箇所や溶接個所など金属板同士の
合わせ目など、狭いすき間に発生する腐食を
すきま腐食という。すき間は外部よりも溶在
酸素の供給が不十分になって稀薄になるため
酸素濃淡電池が形成されて腐食が進行するの
である。
ちなみに、
「酸素濃淡電池」とは、
酸素濃度の差によって発生する
起電力を利用した電池のことで、
金属腐食の原因の一つです。
例えば、
金属が地中に埋まっていて、
一部が地中から飛び出ていると、
飛び出ている部分は周囲に酸素が
あり酸素濃度が高い状態です。
地中に埋まってる部分は、
酸素濃度が低いのですが、
酸素濃度を合わせようとする
働きが起こって酸化が起こり、
腐食してしまいます。
(04)
オーステナイト系ステンレス鋼などで、500
~800℃に加熱された時に、クロム炭化物が
結晶粒界に沿って析出し、その結果生じた
クロム欠乏部が局部的に腐食される現象は
粒界腐食と呼ばれている。
ちなみに、
「粒界腐食」の原理も
電池の形成にあります。
不動態被膜のある部分が+
不動態被膜のない部分が-
となって腐食が進みます。
(05)
部品を機械装置に組み込んだ時や仕様初期は
全く問題なかったものが、突然亀裂を生じて
破壊する現象は遅れ破壊という。
酸洗いや電気めっきを施した時に生じる水素
ぜい化。
大きな内部応力を有するステンレス鋼や黄銅
部品などに生じる応力腐食割れなどがある。
(06)
液体が衝撃的にぶつかる箇所や流速が急変す
る箇所において、液体中に存在する硬質粒子
によって生じる機械的な摩耗現象をエロージ
ョンという。
ちなみに、
「エロージョン」とは、
機械的に起こる摩耗のことで、
「コロージョン」とは、
摩耗による腐食のことです。
例えば、
炭素鋼鋼管で考えると、
配管内を高速で水が流れると、
配管内面を水が激しくこすり、
乱流により機械的摩耗が生じ、
錆が発生しやすくなります。
コーナー部なども乱流を生じ
やすい箇所といえます。
さらに、
流体による摩耗作用が働けば、
腐食性生物は削り取られて
新たな表面が出現して、
水中に溶存している酸素が
働いて腐食を促進します。
エロージョンによって
錆が取り除かれて、
コロージョンによって
錆が発生するという、
複合的作用が腐食速度を
さらに大きなものにします。
ステンレス鋼鋼管は、
不動態被膜によって
錆に強いとされていますが、
海水ポンプのインペラー等
に使った場合は短時間で
エロージョン・コロージョン
を起こす事例があるそうです。
パソコン閲覧用資料(印刷用)
金属の腐食
私が過去に受験勉強した資料で
不足たくさんあると思います。
そこはご容赦いただければと。
それと、クセ字もすみません。
クセが強すぎて一部の同僚には
「シマ字」と言われてました。
関連リンク
関連記事
1級:設計管理
・設計に関する一般的知識
1&2級:工業材料
・表面硬化法
・加工硬化
・金属の腐食
・ステンレス鋼
・工具材料
・六角ボルトの製作
科目
・2級:機構学・機械要素設計
・2級:材料力学
・2級:機械力学
・2級:流体工学
・2級:熱工学
・2級:制御工学
・2級:応用・総合
・1級:機械総合基礎
・1級:産業機械
・1級:荷役・運搬機械
・1級:設計管理
・1級:小論文
・1&2級:環境経営&環境・安全
・1&2級:工業材料
・1&2級:工作法
・1&2級:機械製図
記事内キーワード
・工業材料
・工業
・材料
・金属
・金属の腐食
・耐食性
・貴な金属
・卑な金属
・腐食電池
・ガルバニック腐食
・接触腐食
・孔食
・ステンレス鋼
・アルミニウム
・不動態膜
・すきま腐食
・酸素濃淡電池
・クロム炭化物
・粒界腐食
・送れ破壊
・酸洗い
・電気メッキ
・水素ぜい化
・黄銅
・応力腐食割れ
・硬質粒子
・エローション
注意事項・お知らせ
著作権について
日本機械設計工業会様に著作権などの点で
ご相談させていただいた結果、
機械設計技術者試験の過去問題をベースに、
問題内の数値等を少し変えさせていただいた
類似のオリジナルな問題にしています。
過去問題そのままを掲載はしていません。
科目名称について
科目の名称は過去と現在とで多少違いが
ございますが、内容は概ね違いありません。
私のブログ内では過去の名称のままで
記載させていただくことをご了承ください。
まとめ
機械設計技術者試験は
とても難しい試験です。
試験合格のため以外にも、
日々の設計業務のためにも、
勉強することに意味ありです。
是非とも挑戦して欲しいです。
頑張ってくださいね!
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。