機械設計技術者試験とは
機械設計技術者試験とは、
一般社団法人の日本機械設計工業会
(JMDIA)が実施されている、
民間の資格試験です。
この資格試験は1996年から開始して
おりまだ歴史が浅いため、
国家資格や公的資格ではないですが、
機械設計業界では技術士に次いで、
難易度の高い資格試験と言えます。
機械設計技術者が
機械設計のことを
どれぐらい理解できているか
の試験です。
機械設計技術者試験に合格するメリットは?
機械設計の仕事は資格がなくてもできます。
弁護士など資格がないとできない仕事では、
残念ながらありません。
しかしながら誰でもできる仕事ではなく、
高度で幅広い知識が必要な仕事です。
「資格試験を受験する意味あんの?」
「ちゃんと仕事できてたらええやん?」
「受験勉強する時間がもったいない!」
「その時間をお客様の信頼確保につながる、
例えば、
検図や資料作成に費やした方がいい!」
などなど、、、
そんな風に思っておられませんか?
実は私も、
昔はそう思っていました。
本気で思っていましたが、
逃げ口上だったことも、、
事実でした。
40歳である程度、おおかた20年もの間、
機械設計の仕事を続けてきてた私は、
指名をいただけるお客様も複数抱えて、
社内メンバーや協力外注設計さんも抱え、
自信満々で仕事はできていました。
経験での自信はあっても、
理論に基づいた
絶対的な根拠をもとに、
設計ができているのかと
自問自答すると、
自信が持ててない部分も
正直ありました。
その部分を払拭して完璧に近い自信で、
機械設計の仕事をしていきたいと思い、
41歳で受験を決意することにしました。
数学や物理が苦手で大嫌いだったので、
普通科文系高校を卒業した私としては、
受験勉強初期はただただ苦痛でした。
でもだんだん自力で解けるようになり、
どんどん面白くなっていき、
41歳で2級合格、
45歳で1級合格できました。
20年逃げたので中年ですが。。。
機械設計技術者試験合格は、
ゴールではなく通過点です。
受験に向けて勉強した過程で、
得た知識を今後の設計に活かす、
根拠をもとに自信をもって
お客様に設計プランを
ご提案することが重要です。
自分自身の技術レベルの現状把握にもなり、
公に認定してもらうことにより、
他者に対しても自分の技術レベルの概要を
認識してもらうことに有効な資格試験です。
メリットとして強いて言えば、
・就職(転職)に有利
(社会人の方でも持ってる人は少ない)
・スキルの証明
(民間とはいえ知名度ある公の認定)
・段階的ステップアップ
(3級→2級→1級) ですが、
とにかく自信がつくのがメリットです。
機械設計技術者試験概要
受験資格
1級
・大学院、大学、高専専攻科、
高度専門士を卒業後、
5年以上の実務経験(要審査)
・短大、高専、専門学校を卒業後、
7年以上の実務経験(要審査)
・記以外の学歴で、
10年以上の実務経験(要審査)
・2級取得者
2級
・大学院、大学、高専専攻科、
高度専門士を卒業後、
3年以上の実務経験
(3級取得者は2年以上)
・短大、高専、専門学校を卒業後、
5年以上の実務経験
(3級取得者は3年以上)
・上記以外の学歴で、7年以上の実務経験
(3級取得者は4年以上)
3級
・年齢、学歴等に制限はなく、
誰でも受験できます。
試験対象
1級
機械および装置の基本仕様決定に必要な計算
構想図の作成などの基本設計業務を行なえる
能力に達した技術者が対象
2級
基本設計に基づき、
機械および装置の機能・構造・機構などの
具体化を図る計画設計業務を行なえる
能力に達した技術者が対象
3級
機械や装置の詳細設計の補佐、
ならびに関連する製図などの業務を行なえる
能力に達した技術者、
または、
機械設計全般の基礎知識を習得した学生対象
試験難易度偏差値
1級:64:かなり難関
2級:61:だいぶ難関
3級:56:難関
とはいえ、3級でも同じ偏差値56なら、
二級建築士や数学検定 準1級 相当です。
試験内容によって毎年変動しますので、
あくまでも目安程度とご理解ください。
試験合格率
年 | 1級 | 2級 | 3級 |
2023年 | 36.4% | 40.8% | 47.1% |
2022年 | 33.1% | 46.2% | 38.1% |
2021年 | 37.8% | 41.2% | 43.1% |
2020年 | 33.3% | 32.6% | 37.3% |
2019年 | 29.6% | 34.2% | 33.3% |
受験料
1級:33,000円
2級:22,000円
3級: 8,800円
会社に入ってからの受験なら、
合格すれば受験料は会社が
負担 してくれる場合もあります。
その分、入社前に自己負担で
合格してる人はポイントが高いです。
試験場所
北海道、青森、
東京、埼玉、静岡、愛知、
富山、石川、福井、
大阪、滋賀、
広島、山口、
香川、愛媛、
福岡、福岡(京都郡苅田町)
熊本、沖縄
試験日程
願書受付期間:7月下旬~9月下旬
入金期限:10月初旬
試験日程:11月中旬 (第3日曜日)
合格発表:1月下旬
試験内容
1級
記述式
第1時限:130分 (9:30~11:40)
設計管理関連課題
機械設計基礎課題
環境経営関連課題
第2時限:120分 (12:40~14:40)
実技課題(問題選択方式)
第3時限:90分 (15:00~16:30)
小論文
(出題テーマから一つを選択して解答)
2級
マークシート方式、一部記述式
第1時限:130分 (9:30~11:40)
機械設計分野
熱・流体分野
メカトロニクス分野
第2時限:120分 (12:40~14:40)
力学分野
材料・加工分野
環境・安全分野
第3時限:90分 (15:00~16:30)
応用・総合
3級
マークシート方式
第1時限:120分 (12:00~14:00)
機構学・機械要素設計
流体工学
工作法
機械製図
第2時限:120分 (14:20~16:20)
材料力学
機械力学
熱工学
制御工学
工業材料
試験場に持ち込みできるもの
・受験票(持参必須)
・鉛筆(HB又はBに限定します。
シャープペンシルも可)
・鉛筆削り(電動式は使用不可)
・消しゴム
・スケール、三角定規、分度器、中コンパス
・腕時計
・関数電卓(持参必須)
関数電卓を必要とする
問題が出題される場合があります。
但し、
携帯電話、スマートフォン等の
電卓機能は使用不可です。
主催団体
JMDIA
引用:日本機械設計工業会 HP より
一般社団法人 日本機械設計工業会
新型コロナウィルスの影響で、
試験の実施や内容など日々変化する
可能性があります。
正確な詳細内容は上記のホーページを
都度都度ご確認ください。
機械設計製図に関する主な資格
機械設計製図に関する主な資格としては、
以下の様なものがあります。
1 | 技術士 (機械部門) | 国家資格 |
2 | 機械設計技術者試験 (1級) | 民間資格 |
3 | 機械設計技術者試験 (2級) | 民間資格 |
4 | 機械設計技術者試験 (3級) | 民間資格 |
5 | 技能検定 機械・プラント製図 (1級) | 国家資格 |
6 | 技能検定 機械・プラント製図 (2級) | 国家資格 |
7 | 技能検定 機械・プラント製図 (3級) | 国家資格 |
技術士 (機械部門)
・科学技術に関する技術的専門知識、
高等の専門的応用能力、豊富な実務経験が
あること
・公共の安全、環境の保全といった公益を
優先する高い技術者倫理を備え、継続的
な資質向上に努める責務を有していること
という要件を満たす優れた技術者の育成を図
るための国による資格認定制度です。
技術士とは、高度な技術的知識と高い技術者
倫理を備えていることが国によって認められ
た技術者です。 技術者としての専門知識だ
けではなく、「社会のため になることをす
る」といった技術者倫理を備えていること
が技術士の大きな特徴です。
機械に関する全般的かつ専門性の高い資格試
験です。
ちなみに、
試験難易度偏差値の目安は以下の通りです。
技術士 :70:めっちゃ難関
技術士補:60:だいぶ難関
技能検定 機械・プラント製図
機械やプラントの図面を描く技術者の能力
を認定する技能検定制度の一つで、機械設
計分野では重要な国家資格です。
製図能力だけでなく、図面作成時に必要と
なる機械や設計の知識も求められます。
その名の通り、
機械製図に特化した資格試験です。
ちなみに、
試験難易度偏差値の目安は以下の通りです。
1級:52:普通
2級:44:簡単
3級:39:超簡単
以上のことから機械設計技術者試験は、
これまでに紹介してきましたように、
機械設計に関する全般的な知識を問われる
資格試験で、
技術士~技能士(技能検定)の間を補う
ような立ち位置の試験と考えられます。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。