機械設計技術者試験の科目の一つである、
機械製図の中の、
はめあい公差についての、
オリジナル勉強資料を公開いたします。
機械設計技術者試験合格を目指される方の
お役に立てればと思っております。
機械設計技術者試験 3級
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はめあい公差
穴基準はめあいで、
穴φ60H7の
上下の寸法許容差+0.030,0
の穴に、
軸φ60m6の
上下の寸法許容差+0.030,+0.011
の軸が下図のようにはまっている。
次の設問に答えよ。
(01)
図にはめあい部の、
公差域クラスと寸法許容差との寸法を
併記する寸法の記入方法を記入せよ。
(02)
次の文章の空欄を埋めて完成させよ。
(空欄部は太字・赤太字と仮定します。)
上図のはめあいにおける
基準寸法は60.000、
穴の最大許容寸法は60.030、
穴の最小許容寸法は60.000、
寸法公差は0.030である。
また、
軸の最大許容寸法は60.030、
軸の最小許容寸法は60.011、
寸法公差は0.019である。
このはめあいの種類は、
中間ばめである。
最大しめしろは0.030、
最小しめしろは0.011、
最大すきまは0.019である。
公差と許容差
ちなみに、
公差と許容差の違いは、
公差
許容される誤差を含んだ寸法幅
(例) 10+0.5
許容差
公差で指定した寸法幅に、
方向指定を加えてより具体的に
示したもの
(例) 10+0.3/-0.2
基準寸法10に対して、
上方向に+0.3以内、
下方向に-0.2以内しか、
誤差が許されない
ということです。
引用:株式会社ミスミ
(meviyインフォメーション)
公差の 種類 | 内容 | JIS規格 |
寸法 公差 | 2点間の長さ、 直径、半径、 角の丸みや 面取り寸法が 対象 | JIS B 0405 |
はめ あい 公差 | 互いにはまりあう 関係にある穴径と 軸径の公差 (寸法許容差) を記号で あらわしたもの | JIS B 0401 |
幾何 公差 | 真円度や同軸度、 円筒度、平面度、 真直度など、 あるべき形状や 面に対しての公差 | JIS B 0419 |
さらに、
公差の累積について
直列寸法記入法と、
並列寸法記入法とで、
違いを検証してみます。
結論を先に言いますと、
機能上重要な部位には
直接記入するべきで、
足し算・引き算で
求めるような公差指示
はしてはいけません、
ということです。
引用:株式会社ミスミ
(meviyインフォメーション)
普通公差(一般公差)
ちなみにもう一つ、
普通公差とは、
一般公差とも呼ばれ、
あらかじめ決められた公差を
一覧で表記しておくで、
図面が煩雑になるのを防ぐ
ことができるものです。
等級 | 記載例 |
精級 | JIS B 0405-f |
中級 | JIS B 0405-m |
粗級 | JIS B 0405-c |
極粗級 | JIS B 0405-v |
書き方・指定例
基準寸法 の区分 | 精級 (f) | 中級 (m) | 粗級 (c) | 極粗級 (v) |
0.5以上 3以下 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.2 | – |
3を超え 6以下 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.3 | ±0.5 |
6を超え 30以下 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.5 | ±1 |
30を超え 120以下 | ±0.15 | ±0.3 | ±0.8 | ±1.5 |
120を超え 400以下 | ±0.2 | ±0.5 | ±1.2 | ±2.5 |
400を超え 1000以下 | ±0.3 | ±0.8 | ±2 | ±4 |
1000 を超え 2000以下 | ±0.5 | ±1.2 | ±3 | ±6 |
2000 を超え 4000以下 | – | ±2 | ±4 | ±8 |
基準寸法 の区分 | 精級 (f) | 中級 (m) | 粗級 (c) | 極粗級 (v) |
0.5以上 3以下 | ±0.2 | ±0.2 | ±0.4 | ±0.4 |
3を超え 6以下 | ±0.5 | ±0.5 | ±1 | ±1 |
6を超え 30以下 | ±1 | ±1 | ±2 | ±2 |
面取り、角の丸み(単位:mm)
基準寸法 の区分 | 精級 (f) | 中級 (m) | 粗級 (c) | 極 粗級 (v) |
10以下 | ±1° | ±1° | ±1° 30’ | ±3° |
10を超え 50以下 | ±30′ | ±30′ | ±1° | ±2° |
50を超え 120以下 | ±20′ | ±20′ | ±30′ | ±1° |
120を超え 400以下 | ±10′ | ±10′ | ±15′ | ±30′ |
400を超 えるもの | ±5′ | ±5′ | ±10′ | ±20′ |
角度(単位:度数法
(°度、′分、″秒))
(対象角度の短い方の辺の長さ)
公差用語の新旧対比表
新規格 JIS B 0401-1:2016 |
旧規格 JIS B 0401-1:1998 (~2016年3月) |
||
製品の幾何特性仕様(GPS) ー長さに関わる サイズ公差のISOコード式 第1部: |
寸法公差及び はめあいの方式 第1部: |
||
箇条番号 | 用語 | 箇条番号 | 用語 |
3.1.1 | サイズ形体 | ー | ー |
3.1.2 | 図示 外殻携帯 |
ー | ー |
3.2.1 | 図示サイズ | 4.3.1 | 基準寸法 |
3.2.2 | 当てはめ サイズ |
4.3.2 | 実寸法 |
3.2.3 | 許容限界 サイズ |
4.3.3 | 許容限界 寸法 |
3.2.3.1 | 上の許容 サイズ |
4.3.3.1 | 最大許容 寸法 |
3.2.3.2 | 下の許容 サイズ |
4.3.3.2 | 最小許容 寸法 |
3.2.4 | サイズ差 | 4.6 | 寸法差 |
3.2.5.1 | 上の許容差 | 4.6.1.1 | 上の 寸法許容差 |
3.2.5.2 | 下の許容差 | 4.6.1.2 | 下の 寸法許容差 |
3.2.6 | 基礎となる 許容差 |
4.6.2 | 基礎となる 寸法許容差 |
3.2.7 | Δ値 | ー | ー |
3.2.8 | サイズ公差 | 4.7 | 寸法公差 |
3.2.8.1 | サイズ公差 許容限界 |
ー | ー |
3.2.8.2 | 基本サイズ 公差 |
4.7.1 | 基本公差 |
3.2.8.3 | 基本サイズ 公差等級 |
4.7.2 | 公差等級 |
3.2.8.4 | サイズ許容 区間 |
4.7.3 | 公差域 |
3.2.8.5 | 公差クラス | 4.7.4 | 公差域 クラス |
3.3.4 | はめあい幅 | 4.10.4 | はめあい の変動量 |
3.4.1 |
ISO |
4.11 | はめあい 方式 |
3.4.1.1 | 穴基準 はめあい 方式 |
4.11.2 | 穴基準 はめあい |
3.4.1.2 | 軸基準 はめあい 方式 |
4.11.1 | 軸基礎 はめあい |
ー | ー | 4.3.2.1 | 局部実寸法 |
ー | ー | 4.4 | 寸法公差 方式 |
ー | ー | 4.5 | 基準線 |
ー | ー | 4.7.5 | 公差単位 |
更に、
言葉の変更は下記の通りです。
(長さ、角度、位置の総称として)寸法
⇒ 寸法
(長さや直径を意味する)寸法
⇒ サイズ
(位置や距離を意味する)寸法
⇒ 位置
(長さや直径の)寸法公差
⇒ サイズ公差(長さや直径に限る)
(位置の)寸法公差
⇒ 幾何公差(位置に限る)
はめあいの種類
すき間ばめ | しまりばめ | 中間ばめ |
軸が穴より細くてすき間が あるはめあいのことです。 軸は穴から簡単に分解する ことができます。 | 軸が穴より太くて強く圧入 するはめあいのことです。 一度圧入したらほぼ抜けない ので、軸を穴から外したい時 はどちらかの部品を破壊しな いと分解できません。 | すき間ばめとしまりばめの 中間的なはめあいのことです。 部品を破壊することなく分解 可能ですが、圧入の程度によ っては、ハンマーで軽く叩く 必要があります。 |
・軸を回転させたい ・加工コストや組立コストを 安くした ・人の手で頻繁に軸を穴から 取り外したい H8/f7 可動 H7/g6 きつめ , 可動 | ・軸と穴を一体化させたい ・衝撃を受けても軸が穴か ら外れないように強固な 固定をしたい H7/p6 圧入レベル | ・軸の高精度な位置決めを したい ・位置の再現性が必要な 交換部品 ・ノックピンを固定したい H7/js6 ゆるめ H7/m6 きつめ |
はめあいの方式
穴基準はめあい方式 | 軸基準はめあい方式 |
穴を基準とした はめあいのことです。 特にH穴を基準として 軸を選び、 すき間やしめしろを 与えるはめあいを H穴基準と言います。 | 軸を基準とした はめあいのことです。 特にh軸を基準とし 穴を選び、 すき間やしめしろを 与えるはめあいを h軸基準と言います。 |
公差域の記号 ⇒大文字+公差等級の数字 (例) H7 | 公差域の記号 ⇒小文字+公差等級の数字 (例) g8、h7 |
穴を表す記号 すきまばめ:B,C,E,F,G,H 中間ばめ:JS,K,M,N,P しまりばめ:R,S,T,U,X | 軸を表す記号 すきまばめ:b,c,e,f,g,h 中間ばめ:js,k,m,n しまりばめ:p,r,s,t,u,x |
公差域クラスと公差等級
公差域クラス (穴は大文字) | 公差域クラス (軸は小文字) | 公差等級 |
A~ZC (28種) | a~zc (28種) | IT1~IT18 (18種) |
狙い値より A :最も+ 大きい穴 ZC:最も- 小さい穴 | 狙い値より a :最も- 細い軸 zc:最も+ 太い軸 | 2016年に IT01,IT0が 追加され、 本来20種の 公差等級が 規定されて いますが、 上記18種が 一般的に用 いられます。 これを 基本公差と いいます。 |
IT公差
公差はその範囲が狭いほど、
精度が高く厳しいものになります。
例えば同じ公差の0.010でも、
φ10 → φ10.01 (0.1%)
φ100 → φ100.01 (0.01%) となり、
φ100の方が高精度になります。
その為、基準寸法ごとに求める
公差の制度等級を標準化したものを
IT公差(Iso Tolerance)と呼びます。
基準寸法に対する公差等級IT
(JISB0401-1 1998)
基本サイズ 公差等級 | 種類 |
IT1級 ~ IT4級 (精) | ゲージ類 |
IT5級 ~ IT10級 (中間) | はめあわせる部分 |
IT11級 ~ IT18級 (粗) | はめあわされない部分 |
産業機械の分野では一般的に
IT5級~IT11級がよく使われ、
上記の分類から、
「はめあい」の観点で言えば、
IT5級~IT10級を確認すれば、
だいたい当てはまると思います。
特にIT6級・IT7級は頻繁に使用
されると思います。
穴:H6 ~ H7 / 軸:h6 ~ h7
引用:株式会社ミスミ はめあい選択の基礎
JIS使い方シリーズ製図マニュアル
(精度編)より抜粋
(meviyインフォメーション)
パソコン閲覧用資料(印刷用)
はめあい公差
私が過去に受験勉強した資料で
不足たくさんあると思います。
そこはご容赦いただければと。
それと、クセ字もすみません。
クセが強すぎて一部の同僚には
「シマ字」と言われてました。
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・最小すきま
注意事項・お知らせ
著作権について
日本機械設計工業会様に著作権などの点で
ご相談させていただいた結果、
機械設計技術者試験の過去問題をベースに、
問題内の数値等を少し変えさせていただいた
類似のオリジナルな問題にしています。
過去問題そのままを掲載はしていません。
科目名称について
科目の名称は過去と現在とで多少違いが
ございますが、内容は概ね違いありません。
私のブログ内では過去の名称のままで
記載させていただくことをご了承ください。
まとめ
機械設計技術者試験は
とても難しい試験です。
試験合格のため以外にも、
日々の設計業務のためにも、
勉強することに意味ありです。
是非とも挑戦して欲しいです。
頑張ってくださいね!
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。